【cantate】唯一無二のダッフルコート
こんにちは、志乃です。
肌寒くなってきて、冬を越すためのアウターをお探しのお客様が増えてきました。
私も出勤の時にコートを着るようになりました。
今年は寒くなるらしいので暖かいアウター必須です。
そんな今日は【cantate】から特別なコートが入荷したので、そちらのご紹介ブログです。
cantateさんのお洋服について私がブログを書くのは三回目となりますが、「どうやって魅力を伝えよう。」が1番強いブランドかもしれません。
素材や着心地は触ったり着たりするとすぐにわかるのですが、「なぜ、何がどういいのか」をわかってから手に入れたいアイテムしかないのです。
それと同時にたくさん調べて、自分の中で消化して、皆様にブログでご紹介して、が楽しみなブランドでもあります。
こだわりを一つの漏れもなくお伝えしたいので超ロングブログになりそうですが是非最後までご覧くださいませ!!
Pile Duffle Coat
佇まいがなんとも美しいダッフルコート。
先にお値段をお伝えすると、¥300,000
これをどう捉えるかは、全てを知ったあとに。
まずはcantateといえば、な生地について。
cantateのコレクションは全てデザイナーの松島さんが糸から計算して作られています。
なので生地の説明、となるとまず糸の作り方のこだわりからお話したいのです。
今回ダッフルコートに使われているのは2019AWに作られた”本パイルメルトン”というオリジナル生地。
二重織りのパイル織りで、ヘリンボーン柄。
緯糸に使ったのは、19.5マイクロンのラム。
(マイクロンとは繊維の太さの単位です。)
エクストラファインメリノと呼ばれるウールで、これでも十分に素晴らしい毛糸なんですが…
経糸に使っているのが、15.5マイクロン。
マイクロンで言うとカシミア同等のスーパ−160という極細の繊維。
(繊度が細ければ細いほど価値が高いそうです。)
しかも経緯とも贅沢に双糸。
二種類の原毛をブレンドして、それを織り上げているのです。
(双糸にすることでふくらみや風合いが良くなります。)
ハイクラスな経糸を使って全体的な風合いを良くしつつ、やや良い原料を使った緯糸でパイルの山をしっかりと残す。
パイル地を作るにあたって生地の表情を残せる最高の組み合わせ、糸の選択なのです。
と、ここまでが糸が生地になるまでのお話。
ここまでかなりの手間や時間がかかってますよ。
もっと遡ると手間をかけて育てた羊の話になりそうなのでさすがに省略します。笑
糸から布になり、次は洋服作り、が一般的な過程ですが…
ここからまた加工を施してやっと生地の完成とのこと。
ここからの加工がまたスゴイんですよ、、
触っていただくとより伝わるのですが、肉厚でもっちもち。
そして滑らか。
大袈裟ではなく初めて触る感触です。
加工の工程を簡単に言うと、
①洗い②縮絨③乾燥④起毛⑤毛羽を落とす⑥ツヤ出し
わかりやすく説明していきます!
まず汚れや油のついた仕上がってきた生地をキレイに洗い、加工しやすいように綺麗に。
そして熱を入れて洗い、押し込むことで編み地が詰まっていきます。
そうすると生地が嵩高になり、ふっくらとしていきます。
ここまでが洗いと縮絨です。
つまり、縮絨をかけることであみがギュッと詰まって厚みが増しているわけですね。
そして、起毛加工をしやすくなるようにウールの風合いを出しながら、起毛に耐えられるようにする工程でもあります。
その後は、生地をかいてケバを起こして、余計なモノは刈る。
起こしては刈るを繰り返すことで生地を起毛させ、滑らかで触り心地の良い生地に仕上げていきます。
さらに、押して蒸すことによって、柔らかく起毛感のあるツヤがある生地が やっと完成。
これだけでもかなりの工程を経て生地が出来上がるんだな、と感動ですが
この工程を何度も繰り返すのが本パイルメルトン。
約五回繰り返すんですって…
加工にかかる日数はなんと約1ヶ月〜2ヶ月…
幾度となく洗いと起毛を繰り返し、慎重にカットしていくことによってキレイなパイルの山を作り上げているんだそうです。
気の遠くなるような作業ですね。
ここまで文字がたくさんになってしまいましたが読み疲れてないでしょうか!
生地のことがわかったので一度着用してみました。
可愛い!暖かい!軽い!!
難しいお話をたくさんしましたがこれに尽きます。
生地の厚みが生み出す優しい丸みを感じるフォルムもまた愛しい。
やっぱりギュッと縮絨しているので持つと多少ずっしり、着てみるとまさかのものすごく軽い。
空気を含んでいるので肉厚でも重さを感じないんですね。
そして、めちゃくちゃ暖かい。
肉厚な生地のコートはごわついて動きにくいイメージもありますが柔らかくてストレスフリー。
そして奥行きのあるヘリンボーンにシャンブレー(経糸・緯糸で色が違う)、立体感があって雰囲気がでます。
私は、コートは基本前をあけてガバッと羽織るのが好きなのでトグルはとめずに着用。
フロントにひとつボタンがついているので、ボリュームが気になる方はここをとめての着用もおすすめです!
私のように身長が高くない方はとめるとバランスが良さそうです。
トグルでとめるとこんな感じ。
よりコンパクトなシルエットでハンサムな印象。
パーカーなどもそうですが、肉厚な生地のフードの立ち上がりがすごく好きで、まさにどストライクな形です。
首回り全く風を感じない暖かさ、、
水牛のトグルに麻紐という組み合わせ。
レザー紐がよく見られますが、麻紐を使用し、敢えて粗野な雰囲気に。
レザー紐は乾燥に弱く、お手入れも大変なのでそういった意味でも嬉しい組み合わせです。
いかがでしたでしょうか。
糸選びから徹底的にこだわり、その後の加工に至るまでたくさんの人が関わり、莫大な時間を費やしてできた生地だということがわかりました。
最初にお値段を¥300,000とお伝えしましたが他メゾンブランドで作ると80〜100万近くするとのこと。
かかった手間を考えるとうなずけます。
そして、加工の一連の工程はひとつの工場で行われますが、この加工ができるのは日本では1社しかないとのこと。
1社、、!!!!
継承されていくことなくこの技術が見られなくなる日も近いかもしれません。
そんなお洋服を作り続けていくcantateさん。
ブレないモノづくり。カッコよすぎます。
そんなブランド、お洋服を知っていること、お客様にお届けできること、それがとても嬉しく思えます。
年を重ねるごとに似合っていくであろうcantateのダッフルコート。
優れた職人技を、正当な価格で買える今のうちに。
この技術が途絶える前に。
是非店頭にてお試しくださいませ。
shino